BIGLOBEモバイル導入事例株式会社サーキットデザイン
掲載日:2018年09月05日
遠隔地で動物の位置を把握し、鳥獣被害対策に貢献
狩猟による野生鳥獣の捕獲量低下や耕作放棄地の増加から、鳥獣被害が全国的に深刻化しています。その被害額は年間200億円にも。鳥獣による農作物被害が継続すると、農家は営農意欲が減退し、さらに耕作放棄地をもたらし悪循環になります。農林水産省では、鳥獣被害対策として年間約95億円を地方自治体に支給し、さまざまな対策がすすめられています。
無線機器の設計や開発を長年進めてきた株式会社サーキットデザインは、寒冷地で使用されるエンジンスターターや産業用の無線モジュールで培った技術を活かして、動物用GPS発信器を開発。ANIMAL MAPと呼ばれる動物位置情報システムと連携し、鳥獣被害を減らす取り組みに貢献しています。
動物用GPS発信器と基地局でサルの位置をリアルタイムに把握する
サルの被害対策を実際に見てみましょう。一般的にはオスのボスザルが群れを牛耳っていると思われていますが、野生のサルはメスが群れを率いているそうです。そのメスを捕獲し、首に「サル用GPS首輪発信器」を取り付けます。これまでは「サル用ビーコン発信器」を首に取り付け、「八木アンテナ」と呼ばれる持ち運び式のアンテナを二方向から使って、ビーコンが発信する電波から位置を把握していましたが、人件費の負担が大きく、続けるのも困難でした。
「サル用GPS首輪発信器」は正確な位置情報を定期的に基地局に送信します。150MHz帯のVHF帯を利用しているため山間部でも比較的電波状態は良いのですが、送信できない場合は内蔵メモリに保存し、送信できるようになるとまとめて位置情報を送信します。集まったデータはBIGLOBEモバイルの回線でクラウドへ送信します。基地局はソーラーパネルとバッテリーを装備しているため、どこでも設置できます。
こうして取得したサルの位置情報を地図上にマッピングし、移動の軌跡と共に表示します。夜間に生息する場所と、昼間に生息する場所もわかり、生息域の行動パターンも予測が可能に。また活動センサーの情報も受信しているため、サルが寝ているのか起きているのかもわかるようになりました。
サルによる加害レベルが高い場合は捕獲は避けられませんが、加害レベルが低い場合はこのデータを元に追い払う、または防護柵を設置することで効果的な対策が可能になりました。今まで場当たり的に捕獲することで対策していたやり方を改め、継続的な生体モニタリングをはじめた自治体で鳥獣被害が減少しています。
登山者の位置把握にも応用
株式会社サーキットデザインが位置する安曇野市は、常念岳や蝶ヶ岳と言った北アルプスの登山口にもなります。携帯電話のUHF帯の通信網では山間部の奥深くは電波が届きにくいですが、今回の「サル用GPS発信器」のようにVHF帯を利用すればデータを基地局に送信できるため、登山者の位置情報把握の実証実験が進められています。
導入の経緯
「サル用のGPS発信器」と基地局の仕組みは、全国の13市町村40以上の基地局で導入されています。以前は他社のSIMカードも利用していましたがサービス終了に伴い、他社のサービスを探していたところ、リーズナブル、かつグローバルIPアドレスを利用できることから、BIGLOBEモバイルの回線を選択しました。遠隔地からでもソフトウェアのアップデートをする必要があるため、グローバルIPアドレスを利用できることは重要な条件でした。
*2021年2月末をもってグローバルIPアドレスの提供を終了し、プライベートIPアドレスとなります。モバイル固定IPオプションをご契約の場合に限り、グローバルIPアドレスがご利用いただけます。
株式会社サーキットデザイン
営業部部長
永田 修 様
当社は無線機器の専門メーカーとして、産業用途の特定小電力無線モジュールの開発・製造・販売や特定顧客向けの無線機器の開発・製造に創業以来43年間携わってまいりました。最近のIoTサービスの中で、通信手段としてのLPWAが注目されています。特定小電力無線もLPWAの1種類です。ANIMAL MAPは特殊なIoTの応用例ですが、150MHz帯のサル用GPS首輪発信器が通信端末となります。当社にとって動物用発信器は未知の分野でしたが、無線技術を活用し、新たにSIMカードを利用したクラウドサーバーの構築に挑戦しました。このクラウド情報サービスを核にして、今後も用途開発を進めたいと思います。
お客さまのプロフィール
社名 |
株式会社サーキットデザイン |
---|---|
URL |
http://www.circuitdesign.jp/jp/ |
事業内容 |
エンジンスターター |
所在地 |
〒399-8303 長野県安曇野市穂高7557-1 |
ご利用機器 |
アットマークテクノ製 CPUボード「Armadillo」 |