【法人向け】5Gは格安SIMでも利用可能?
メリット・デメリットや注意点とは
掲載日:2021年05月06日
更新日:2023年12月20日
2020年3月より5Gの商用利用がスタートし、注目度がますます高まっています。5Gの特徴である、大容量の高速通信が気になっている方も多いことでしょう。この記事では、5Gの特徴や5Gでできること、4Gとの比較などを解説します。記事を通じて、特に法人スマホに5Gを導入すべきかどうかという点を判断するための参考にしていただけたら幸いです。
5Gとは?
5Gのメリットや活用法を理解するには、まず5Gがどのような技術であるのかを把握することが大切です。この章では、5Gに関する基本的なポイントについて解説します。
◇5Gの概要
5Gとは「5th Generation(第5世代)」の頭文字を取った略称であり、第5世代移動通信システムを指します。2020年3月以降、ドコモ・au・ソフトバンクの3キャリアで5G利用可能プランがスタートしており、同年9月末には楽天モバイルもスタートしました。2021年時点ではどのキャリアも対応エリアが限定的ですが、徐々に全国で使えるようになるでしょう。なお、5Gの技術を利用するには、5G対応端末と5G対応の通信システムの両方が必要です。
◇5Gの特徴
5Gには、以下の3つの特徴があります。
特徴①:高速大容量通信
4Gと比較すると、サービス開始当初は通信速度が数倍で、将来的に20Gbps程度になるとされています(周波数帯や利用するエリアの条件によって異なります)。例えば、2時間の映画を数秒でダウンロードすることができるイメージです。
特徴②:低遅延
5Gは通信経路が短いため、基地局から反応が返るまでの時間が削減でき、リアルタイム性の強い通信が実現できます。例えば、自動車の自動運転では、センサーなどから周囲の状況を瞬時に読み取って機器をコントロールしなくてはなりません。そのため、この特徴は自動運転で安全運転を実現するために重要な要素とされています。
特徴③:多数同時接続
5Gでは、スマホやスマホ以外のデバイスと電波の橋渡し役である基地局間の通信がシンプルになることで、基地局から同時接続できるデバイスが大幅に増えます。主にIoT・M2M用途に活用されることが多い特徴です。
5Gで実現できること
5Gに対応したモバイル(スマホ)を利用する場合、これまでにできなかったことが実現できます。特に、法人スマホの利用シーンで5G端末を導入した場合に、実現できることを解説します。
◇大容量のデータ通信
データ容量の問題から、従来の4G端末では通信に時間がかかっていたフォトショップ画像ファイルの送受信などが、5Gではスムーズに実行することができます。
◇Web会議の質を高めることが可能
理由①:4K・8Kに対応
4K・8Kなどの高画質で、Web会議を開催できるようになります。それにより、画面上で共有する資料やWeb会議時のカメラの映像などが鮮明に映るようになります。
理由②:会議中に重いデータが共有しやすくなる
低容量・低画質でのWeb会議は容量の重いデータの共有が困難なケースがありますが、5Gではそうした問題を解決して、Web会議の質を高めることができます。
◇テザリングを利用したパソコンでの高速通信
4G端末でテザリング機能を利用する際、大容量の通信を必要とするパソコンでは通信速度が不十分なケースがあります。しかし、5G対応端末でのテザリングであればWebサイトの閲覧やデータの送受信が高速で実行でき、快適な通信が可能です。
◇AR・VRの技術が身近になる
ARやVRのデータ受信をする際には、スマホに負荷がかかります。低遅延・大容量通信可能な5Gでは、これらの技術をスムーズに利用でき、VR酔いなどのストレス要因を軽減させられる可能性があります。ARやVRのコンテンツも快適に利用できるようになるでしょう。
5Gと4G(格安SIM含む)
それぞれのメリットデメリット
前述したように5Gでは、4Gではできなかった多くのことが実現できます。しかし、必ずしも5Gを導入したほうが良いとはいえないケースも想定されるでしょう。この章では、5Gと4Gのメリット・デメリットについて、特に4Gの格安SIMを想定しながら比較検証します。
◇費用(通信費用・端末価格)
費用面に関しては、5Gのほうが通信費用・端末価格ともに料金プランが高くなることが考えられるでしょう。3キャリアでは、5Gの月額料金が4Gよりも1,000円ほど高く設定されています。また、格安SIMの場合は、5Gの月額料金が4Gより200~500円ほど高く設定されています。端末価格に関しても、5G対応端末は高価格帯の機種が中心となります。したがって、費用面を重視する方にとってメリットがあるのは4G、特に格安SIMであるということになります。
◇通信の速度
5Gには高速大容量・低遅延・高信頼性のメリットがあり、4Gよりも通信速度が上がります。したがって、AR・VRの技術を頻繁に利用したり、4K以上の高精度の動画・Web会議システムを利用したりする企業にとっては、5Gを選ぶメリットが大きいといえるでしょう。しかし、Webサイトの閲覧や動画の視聴、アプリの利用など大半の用途においては、4Gで十分な速度が確保できます。格安SIMを選ぶ場合、4Gはキャリアによって通信速度や安定性が異なるため、信頼性の高い通信事業者を選ぶことが大切です。
>格安SIMとは?
◇通信エリア
5Gサービスは、2020年3月に商用利用がスタートしたばかりであり、2021年4月時点においてエリアカバー率はそれほど高くありません。さらに、対応エリアの範囲内であっても、電波の干渉により受信できないケースがあり、5Gの電波を利用できるエリアは限られています(5G対応端末は当面、5Gエリア外では4Gの回線で通信できる仕様になっています)。
対して、4G(格安SIMを含む)は極めて高い人口カバー率を誇り、幅広いエリアで利用できることが魅力です。5G端末で電波の共有があるため、現状では通信エリアによるメリット・デメリットは特にありませんが、5Gサービスを契約したからといって全てのエリアで5Gが利用できるわけではないことを理解しておきましょう。
◇対応端末
現状の5Gには、対応端末のデメリットもあります。auは2020年秋以降発売のスマートフォンはすべて5G対応になるなど、対応機種は増えていっていますが、5Gに対応しているのは、サービス開始当初は2020年春モデル以降の一部の機種のみであるためです。しかし、4G(格安SIM)では、現行のスマートフォンの大半と4Gに対応したガラケーの利用が可能です。
◇セキュリティ対策
5Gでは、特有のセキュリティ問題が大きなデメリットになる可能性があります。大容量通信が可能な5G対応端末では、パソコンで行なっていた従来の業務をスマートフォンで実行できるようになります。また、多数同時接続が可能なことにより、電化製品や各種産業機器などのIoT機器と同期して利用することが想定されるでしょう。したがって、セキュリティ対策の甘いIoT機器などから自社のネットワークに侵入されるリスクへの対策や、スマートフォン端末そのものにも高度なセキュリティ対策を講じる必要があります。
5Gの法人スマホはどうなる?課題と展望
これまでの内容を踏まえて、2021年4月時点における5G法人スマホの課題と展望を解説します。
◇2021年時点でのユーザー側の課題は価格とエリア
5Gの導入に際して、現状の大きな課題は、価格と対応エリアといえるでしょう。エリアについては、スポット的に社内や工場に5Gの電波を供給するサービスを利用することで解決する方法も考えられますが、設備投資が高額になる見込みがあります。そのため、どの程度の費用対効果があるのかを検討する必要があるでしょう。
◇キラーコンテンツが少ない
費用対効果を考えるうえで、2021年4月時点では5Gのキラーコンテンツが少ないことも、課題として挙げられます。今後、ARやVRの技術を活用した研修サービスやIoTとの連携など、ビジネスに活用できるサービス・商品が登場してくることが予想されるでしょう。
しかし、少なくとも現時点では、そのようなサービスの数は多くありません。企業に5G対応端末の導入を検討する際には、自社に必要なサービス・コンテンツが提供されているかどうかを見極めることが大切です。なお、5Gではスポーツ中継や音楽ライブ映像、ゲーミングなどの個人向けエンターテインメントコンテンツから、拡張していく見込みが高いといわれています。
◇ゆるやかにシフトしていく見込みが高い
5Gにはメリットや大きな可能性があるため、将来的に主流となるサービスであることはほぼ間違いないでしょう。しかし、そのメリットが完全に享受できるようになるのは数年後だといえます。3Gから4Gへの切り替わりが緩やかに行なわれたように、4Gから5Gへも緩やかにシフトすると考えられます。
まとめ
5Gの3つの特徴は、高速大容量通信・低遅延・多数同時接続です。メリットも多い5Gですが、特に法人利用においては、現状ではメリットは限られています。逆にセキュリティのリスクやコストなどデメリットになりうる点の方が目立ちます。通信の質を保ちつつコストを削減したい企業の担当者さまは格安SIMを選んでみてはいかがでしょうか?