ベストエフォート型の光回線とは?
メリット・デメリットや選び方のポイントを解説
掲載日:2025年04月07日

光回線を利用したインターネット接続において、「ベストエフォート」という用語を目にすることがあると思います。ただ、なんとなく意味は想像できるがそれが実際の通信品質や利用シーンにおいてどう影響するのかよくわからない…と感じる方は多いのではないでしょうか。
そこで本コラムでは、老舗ISP事業者であるビッグローブが、ベストエフォート型の光回線について解説します。光回線の選び方や通信速度が遅い場合の改善策も紹介しているので、インターネット回線の乗り換えや新規契約を検討している担当者の方は、ぜひご一読ください。
ベストエフォート型の光回線とは?
ベストエフォートとは、「最大限の努力」という意味です。つまり、ベストエフォート型とは、最大限の努力による速度でインターネット接続することを指します。
たとえば「最大1Gbps」の通信速度を謳うベストエフォート型の場合、1Gbpsは技術規格上の上限となる速度となります。他に利用者がいない、機器や配線などのスペックが最大通信速度に対応しているなど、すべての条件が揃った場合に、到達しえる理論上の速度ということになります。
ベストエフォート型は、あくまでも理論値であるため、最大の通信速度を保証しているものではないことを理解しておきましょう。
ベストエフォート型の最低速度
ベストエフォート型では、最低通信速度は保証していません。通信速度は常に変化するものであり、時間帯や利用環境によって遅くなることもあるため、上限値である最大通信速度と同様に、下限値である最低通信速度も保証できないのです。
ベストエフォート型以外の種類
ベストエフォート型以外には、主に以下2種類の光回線があります。
- ギャランティ型(帯域保証型)
- 帯域確保型
ギャランティ型(帯域保証型)
ベストエフォート型とよく比較されるのはギャランティ型です。「ギャランティ」は「保証」という意味があり、最低通信速度が保証されていることから、帯域保証型とも呼ばれます。たとえば、100Mbpsのギャランティ型のインターネット回線であれば、最低でも100Mbpsの通信速度が出ることが保証されているのです。
ベストエフォート型は通信速度は保証されませんが、多くの一般的な利用シーンにおいて必要な速度と安定した通信が可能だと思われます。一方、ギャランティ型は、特定の条件下でも最低通信速度を保証することで、より高度な安定性を求めるニーズに応える光回線です。
ただし、ギャランティ型は、その安定性を実現するために専用の設備や管理体制を必要とするため、月額料金はベストエフォート型に比べて高めに設定されています。
帯域確保型
「帯域保証型」と似ている種類に「帯域確保型」があります。どちらも提示した通信速度が維持できるよう、通信設備を増強しながら運用している点では同じです。
帯域保証型と帯域確保型の違いは、帯域保証型が最低通信速度を保証しているのに対し、帯域確保型は最低通信速度に近い速度が出るように運用している点です。
事業者によって定義に差があるため、帯域保証型か帯域確保型で迷った際は、各事業者の公式サイトで定義を確認するといいでしょう。
企業がベストエフォート型を利用する
メリット・デメリット
通信速度の下限が保証されているギャランティ型を採用している企業もありますが、中小企業などでは、ベストエフォート型のメリットを重視してそちらを選ぶ企業の方が多いかもしれません。
企業がベストエフォート型を利用するメリットとデメリットを確認してみましょう。
ベストエフォート型のメリット
ベストエフォート型のメリットは、月額料金がギャランティ型よりも安く抑えられる傾向があります。ギャランティ型は一定の通信速度を保証するために、高度な設備と管理体制が必要となり、そのコストが月額料金に反映されます。
一方、ベストエフォート型は、通信速度を保証しない代わりに、設備や管理にかかるコストを削減できます。そのため、月額料金を低く抑えることができるのです。できるだけ通信費を抑えたいという企業は、ベストエフォート型を選ぶといいでしょう。
ベストエフォート型のデメリット
ベストエフォート型のデメリットは、通信速度が一定ではない点です。通信速度を保証しているサービスではないため、通信環境や利用人数、回線が混雑する時間帯などさまざまな要因によって速度が低下することもあります。そのため、常に快適なインターネット環境を求める場合には向いていないでしょう。
ただし、メールやチャットの送信は1Mbpsあれば通信が可能であり、通信速度が少し遅くなる程度であれば支障はないと考えられます。
オンライン会議においても、下り10~30Mbps/上り1Mbpsが目安とされています。
基幹システムを持つ大企業や、特に安定した通信品質が求められる金融機関やデータセンターなどの業種、クラウド型サービスの提供をしている企業であれば、ギャランティ型を選んだほうがいい可能性があります。
ベストエフォート型で通信速度が
遅い場合の改善策
パソコンなどをインターネットに接続して使用している際に、遅いと感じた場合はまずは以下の対策を行ってみましょう。
- ブラウザのキャッシュを削除する
- 使用する端末のOSをアップデートする
- ルータの規格を変更する
ブラウザのキャッシュを削除する
キャッシュとは、アクセスしたページのデータを一時的に保存する仕組みのことです。キャッシュを溜めすぎると、端末の動作が遅くなるため、定期的に削除するのがおすすめです。
キャッシュを削除することで端末のストレージやメモリの空き容量が増えるため、表示速度が速くなるといった効果があります。通信速度の改善が期待できる手軽な方法なので、通信速度が遅いと感じた時点で最初に試してみるといいでしょう。
使用する端末のOSをアップデートする
パソコンやタブレットなど、使用する端末のOSを最新バージョンにアップデートすることで、通信速度が改善することがあります。OSで発生する不具合や機能改善も期待できるため、最新バージョンが公開されたら、その都度アップデートするのがおすすめです。
ルータの規格を変更する
現在利用されているルータの規格は以下のとおりです。
通信規格 |
最大通信速度 |
周波数帯 |
---|---|---|
IEEE802.11n(Wi-Fi4) |
600Mbps |
2.4GHz帯/5GHz帯 |
IEEE802.11ac(Wi-Fi5) |
6.9Gbps |
5GHz帯 |
IEEE802.11ax(Wi-Fi6) |
9.6Gbps |
2.4GHz帯/5GHz帯 |
IEEE802.11be(Wi-Fi7) |
36Gbps |
2.4GHz帯/5GHz帯/6GHz帯 |
- 最大通信速度は、接続する機器、電波の状態、回線の混雑状況などにより低下します。
最新規格であるほど通信速度が速く「Wi-Fi7」であれば、最大36Gbpsの通信速度が出るとされています。古い規格のルータを使用している場合は、新しい規格のルータに変更することで、通信速度が改善される可能性があります。
- 接続する機器も新しい規格に対応している必要があります。
ベストエフォート型を契約する際のポイント

法人オフィスでは、クラウドサービスの利用やWeb会議、大容量データの送受信などでインターネット回線を利用するでしょう。業務効率を大きく左右するため通信速度の速さは重要なポイントです。ベストエフォート型の中でもとくに通信速度が速いプランを選ぶためには、以下3つのポイントを押さえておくといいでしょう。
- IPv6のIPoE方式に対応したプランを選ぶ
- 最大通信速度の速いプランを選ぶ
- 実測値を確認する
IPv6のIPoE方式に対応したプランを選ぶ
IPv6とは、インターネットの通信規格のことです。「IPv6」に対応した「IPoE方式」のインターネット回線は、従来のIPv4の「PPPoE方式」に比べて回線が混雑しにくいのが特徴です。
一般的には18時以降は回線が混雑する時間帯と言われていますが、オフィスで18時以降にインターネット接続をしながら仕事をするケースもあるでしょう。回線が混雑する時間帯には通信速度が低下しやすいのがデメリットであるベストエフォート型でも、IPv6接続(IPoE方式)を選ぶことで通信速度の低下を軽減しやすいと言えます。
IPv6やIPoEについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もぜひご一読ください。
最大通信速度の速いプランを選ぶ
理論値が速ければ、実測値も比例して速くなる傾向があるため、最大通信速度が速いプランを選ぶのがおすすめです。
実測値ベースで考えても1Gbps以上の速度で利用できる可能性があるため、大容量のデータをダウンロードする業務がある場合も、最大通信速度が10Gbpsであれば快適に利用しやすくなるでしょう。
実測値を確認する
ベストエフォート型における最大通信速度は、あくまでも理論値です。実測値が測定できるサイトを活用して、実際の速度を確認してみると必要な速度の目安がわかります。
実測値が理論値を下回ったとしても、メールやチャットの送信で必要とされている速度の目安は1Mbps程度なため、業務に支障が出ることは少ないでしょう。オンライン会議においても、下り10~30Mbps/上り1Mbpsが目安とされています。
企業が光回線を選ぶ際のポイント
ベストエフォート型の光回線を選ぶ際は、上記のポイントを押さえることで、快適なインターネット環境を実現しやすくなるでしょう。しかし、企業が光回線を選ぶ際には、他にも考慮すべき点があります。ここでは、企業が光回線を選ぶ際に欠かせない3つのポイントを紹介します。
- 通信速度は速いか
- 月額料金は抑えられるか
- 法人契約ができるか
通信速度は速いか
企業が光回線を利用する際に、もっとも重視したいのは通信速度です。通信が途切れたり遅延が発生したりすると、業務に支障をきたすだけでなく、商談のチャンスを逃す可能性もあります。
高速かつ安定したインターネット環境が整っていれば、次のような業務もスムーズに行えるでしょう。
- 複数拠点との高画質なWeb会議
- クラウド上での大容量ファイルの共有
- 顧客とのオンライン商談
- リアルタイムでのデータ共有
通信速度の速さを重視するのであれば、IPv6接続(IPoE方式)に対応した光回線を選ぶのがおすすめです。IPv6は、従来のIPv4よりも混雑しにくい通信方式であり、地域や時間帯による速度低下の影響を受けにくいというメリットがあります。
また、動画コンテンツの利用や大容量データの送受信を頻繁に行うような企業は、10ギガ対応の光回線を導入することをおすすめします。
月額料金は抑えられるか
通信費は毎月かかるため、できるだけ安く抑えたいと考える企業は多いでしょう。たとえば、ギャランティ型とベストエフォート型で月額料金を比較すると、月額料金はベストエフォート型のほうが安く抑えられる傾向があります。
また、事業者によっては特典によって安く抑えられるプランを用意していることもあるため、月額料金だけでなく、自社で契約した場合に受けられる特典までチェックするといいでしょう。
法人契約ができるか
法人契約であれば、専用サポート窓口が設けられていることがあり、導入時や使用途中にトラブルがあった際にサポートをしてもらえます。また、口座振替や請求書払いに対応していれば、経費処理の手間を省きやすいといったメリットもあります。
さらに、月額料金や工事費などを通信費として経費計上できる可能性があり、節税効果も期待できるでしょう。
ベストエフォート型の光回線は
法人向けビッグローブ光がおすすめ

ベストエフォート型の光回線を提供している法人向けビッグローブ光には、以下のような特徴があります。
- IPv6の新しい接続方式に対応している
- 10ギガタイプにも対応している
- 法人契約に対応している
- 特典利用でお得に契約できる
法人向けビッグローブ光は「IPv6(IPoE方式)」を採用しており、回線が混雑する時間帯でも通信速度の安定性を維持しやすい点がメリットです。
法人向けビッグローブ光でも対応している10ギガの光回線は、1ギガよりも理論上の最大通信速度が速く、オンライン会議や動画配信、大容量のデータ送受信でもスムーズにインターネットを利用しやすいです。ただし、提供エリアは順次拡大中であり、対応ルータが必要な点には注意しましょう。法人向けビッグローブ光であれば、10ギガ対応ルータを12カ月間無料でご利用いただけます。
法人契約ができるため、口座振替や請求書払いに対応しており、月額料金や工事費の経費計上も可能です。法人専用のサポート窓口もあるため、光回線の接続設定サポートやトラブル時のサポートも対応いたします。
また、法人向けビッグローブ光ではお得な特典を用意しています。月額料金の値引きや訪問サポートといった特典を利用できるため、ぜひこの機会に導入をご検討ください。
- 本特典は予告なく変更または終了することがあります。
まとめ
ベストエフォート型の光回線とは、最大限に努力した速度でインターネット接続する種類の光回線です。一方、ギャランティ型は最低通信速度を保証した光回線であり、帯域確保型は最低通信速度に近い速度が出るように運用している光回線です。
通信速度の安定性はギャランティ型や帯域確保型のほうが優れていますが、通信設備の導入や管理によってコストがかかっているため、月額料金はベストエフォート型のほうが安く抑えられる傾向があります。ランニングコストの面を重要視するならば、ベストエフォート型を選んだ方が良いでしょう。
できるだけ通信速度を速くし、安定させるためには「IPoE方式」や10ギガに対応した光回線を選ぶのがおすすめです。法人向けビッグローブ光は、どちらも対応しており、法人専用サポートやさまざまな特典を用意しています。ぜひ法人向けビッグローブ光の利用を検討してみてください。