VDSL方式とは?光回線の接続方式の違いや
通信速度が遅いときの対処法を解説
掲載日:2024年07月24日
オフィスに光回線を導入していても、インターネットの速度が遅く感じることはありませんか?「急に通信速度が遅くなる」「大事なオンライン会議中に通信が不安定になる」といった問題が頻繁に発生すると業務に支障をきたすこともあるでしょう。
こうした現象は「VDSL方式」による配線方式に原因がある可能性があります。VDSL方式では、パソコンやスマートフォンなどの複数の端末が同時にインターネットを利用すると通信速度が遅くなることがあります。
本記事では、「光配線方式」や「LAN配線方式」との違いを解説しながら、VDSL方式の光回線が遅くなりやすい理由と、通信速度が遅い場合の対処法を紹介します。最適なインターネット接続方式を理解し、オンライン環境を改善するために是非お役立てください。
VDSL方式とは?3つの接続方式について
VDSL方式とは、ビルや集合住宅で光回線につなぐ際に用いられる、3つの接続方式のうちの一つです。
接続方式 |
使用するケーブル |
通信速度(最大) |
---|---|---|
VDSL方式 |
電話線 |
100Mbps |
LAN配線方式 |
LANケーブル(無線LANも含む) |
100Mbps~1Gbps(設備による) |
光配線方式 |
光ファイバーケーブル |
1~10Gbps(プランによる) |
建物の共用部分まで光ファイバーケーブルが引き込まれている点はどの方式も共通していますが、各オフィスや部屋までの配線に使用されるケーブルが異なります。
それぞれの接続方式の特徴について、詳しく見ていきましょう。
VDSL方式
VDSL方式では、配線に電話線を使用します。既存の電話回線を流用できるため、オフィスだけでなく、マンションやアパートなどの集合住宅にも広く用いられています。理論上は最大100Mbpsの速度が出せますが、一般的には他の接続方式に比べると速度が劣ることが多いです。
LAN配線方式
LAN配線方式は、建物の共用部分から各部屋への配線にLANケーブルを使用する方式です。一般的な通信速度は100Mbps程度ですが、使用機器やケーブルによっては最大で1Gbps程度の速度を出すことが可能です。
光配線方式
光配線方式では光ファイバーケーブルを使用します。この方式は、距離や周辺環境による影響を受けにくく、高速かつ安定した通信が可能です。通信速度は1Gbpsから最大10Gbpsまでプランによって異なります。
VDSL方式での通信速度が遅くなる理由
同じ光回線でも、実際の通信速度はオフィスまでの接続方式によって異なります。特にVDSL方式は他の方式に比べて通信速度が遅くなる可能性が高いです。
とはいえ、接続方式は建物全体の設備によって決まるものであり、簡単には変更できません。現在のオフィスがVDSL方式を採用している場合、まずはその特性を理解しておきましょう。
VDSL方式による光回線が遅いとされる理由としては、以下の3つが挙げられます。
電話回線を使用しているため
VDSL方式では、共用部分までは光ファイバーケーブルが引かれますが、そこから各オフィスまでの通信には電話回線を使用します。光ファイバーケーブルは高速通信が可能ですが、電話回線は本来音声用のアナログ回線で、決して速度が速いとはいえません。そのため、電話回線が速度低下の要因となります。
回線を利用者で分け合うため
VDSL方式では、共用部分までの光ファイバーケーブルによる回線を多くの利用者で共有します。1つの回線を複数人で使用していると、回線の混雑が発生しやすくなります。
電磁波によるノイズの影響を受けやすいため
VDSL方式で使用される電話回線は、電磁波による影響を受けやすいです。電磁波を発するものが周辺にあると、通信にノイズが入り、速度が低下する場合があります。
例えば、電子レンジなど電磁波を発する電化製品がオフィス内にある場合、これが速度低下の原因となることがあります。
VDSL方式の通信速度が遅い場合の対処法
オフィスで利用するオンラインツール(チャットツール、Web会議ツールなど)は、数十Mbps程度の速度があれば十分快適に動作するといわれています。業務で使用するツールの動作が遅いと感じる場合、最低限の速度が確保できていない可能性があるため、通信速度の改善が必要です。
ここでは、VDSL方式による光回線が遅いと感じる場合の対処法を3つご紹介します。
1つ目と2つ目の対処法は、VDSL方式のままで速度の改善を図る方法です。この場合、最大通信速度である100Mbpsに近づけることが目標となります。
【対処法1】ルータやLANケーブルを交換する
VDSL方式ではオフィスまでの配線は電話線ですが、オフィス内にはLANを構築しているケースも多いです。そこで重要となるのが、ネットワークを中継するルータの性能です。
性能の低いルータでは、通信量が処理能力の限界を超えることがあります。通信速度を改善するためには、より高性能なルータへの交換が有効な可能性があります。
また、オフィス内のLANで使用するスイッチングハブやLANケーブルの性能も併せて確認しましょう。これらの機器には、対応可能な通信速度を定めた規格があります。機器同士の対応領域を合わせるか、高スペックの機器に交換するなどで、通信速度が改善できるかもしれません。
【対処法2】IPv6(IPoE方式)に対応した光回線に変更する
インターネットには「IPv4」と「IPv6」という2つの通信規格があります。IPv6はインターネットの急速な普及によって発生した「IPアドレスの枯渇」などの問題に対処できる規格です。
また、インターネットの接続には「PPPoE」と「IPoE」というの2つの方式があります。従来のPPPoEのボトルネックを排除し、回線混雑を軽減するのがIPoE方式です。
建物内の配線がVDSL方式でも、インターネット側の接続をPPPoEからIPoEに変更すれば、速度が改善される場合があります。ただし、IPoEを利用するにはIPv6が必要です。したがって、正確には「IPoE方式を採用したIPv6の光回線に変更する」ことが効果的です。
詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。
【対処法3】戸建て向けの光回線を契約する
上記2つの対処法では、VDSL方式であるために改善を施しても通信速度は最大100Mbpsに留まります。これ以上の通信速度を求める場合は、戸建て向けの光回線(光配線方式)を契約する方法があります。
具体的には、既存の配線を使用せず、オフィスまで直接光ファイバーケーブルを引き込む方法です。この方法により、より高い通信速度と安定した接続が期待できます。
ただし、この方法はオフィスが3~4階以上ある場合や電柱の配線状況により選択できない場合があります。また、配線工事が必要になるため、事前に建物の管理会社や回線事業者への確認も必要です。
VDSL方式の速度にお悩みなら、
法人向けビッグローブ光がおすすめ
VDSL方式の通信環境に満足しておらず、光回線の改善の検討中の方には「法人向けビッグローブ光」の導入をおすすめします。同サービスは、快適で満足度の高い通信環境を実現するため、以下のような特徴を備えています。
VDSL方式でもIPv6(IPoE方式)でスムーズな通信が可能
法人向けビッグローブ光には、集合住宅向けの「マンションタイプ」があります。
このタイプでは、IPoE方式によるIPv6接続に対応しており、VDSL方式においてもスムーズな通信環境を実現可能です。
戸建てタイプなら通信速度を大幅改善
より高速なインターネット環境のためには、法人向けビッグローブ光の「ファミリータイプ」をご検討ください。こちらは、オフィスまで直接光ファイバーケーブルを引き込むため、高速かつ安定した通信が可能です。現在の配線がVDSL方式の場合でも、戸建てタイプへの変更の工事が可能であれば契約変更することで通信速度の大幅な向上が期待できます。
リーズナブルでロングセラーの1ギガタイプと、一部エリアにおいてはより高速な10ギガタイプの2種類をご用意しています。
- ビッグローブ光はベストエフォート型のサービスです。最大1Gbps/10Gbpsとは技術規格上の最大値であり実際の通信速度を示すものではありません。最大通信速度はお客さまのご利用機器、宅内配線、回線の混雑状況などにより低下します。マンションタイプの場合、建物内の設備により通信速度が最大200Mbpsまたは最大100Mbpsとなることがあります。
法人専用窓口で「困った」をサポート
光回線の導入や乗り換えには、疑問や不安が付き物です。そこで、法人向けビッグローブ光では、法人専用窓口によるサポート体制を整えています。
導入にあたっては、専任の担当者が仕様や手続きについて詳しくフォローします。法人特有のお悩みも丁寧にサポートしますので、導入後でもお気軽にご相談ください。
まとめ
VDSL方式は、建物内の電話回線を通して光回線のインターネットに接続する方式です。既存の回線を流用できるため、古い集合住宅や雑居ビルでも採用されていた接続方式です。
ただし、VDSL方式の通信速度には制限があります。VDSL方式を採用しているオフィスの通信が遅いと感じるときは、ルータやLANケーブルの交換を検討するか、光回線そのものを見直しましょう。
光回線を見直す際は、ぜひ法人向けビッグローブ光をご検討ください。VDSL方式のままでもビッグローブ光のマンションタイプに乗り換えることでIPoE方式のIPv6接続による回線混雑を回避した快適な通信が期待できます。
より速度を重視する場合は、オフィスまで直接光ファイバーを引き込むことが可能であれば、戸建てタイプがおすすめです。このタイプでは1ギガのファミリータイプと、一部エリアではファミリー10ギガタイプを提供しており、自社の利用状況に応じて選ぶことが可能です。